AliExpress(アリエク)で見つけた良品Part3 【本物の300mm半導体ウェハ】

これまで度々AliExpressで面白そうなものを購入して、それを動画(とブログ記事)で紹介してきました。今回も電子工作で使えそうなものから使えなさそうな物まで、色々と購入してみましたのでレビューしていきたいと思います。

動画をまだ見ていないよという方は是非こちらからどうぞ!(再生リストになっています)

目次

シリコンウェハ(本物)

まず最初に紹介するのは、本物の半導体のシリコンウェハです。

シリコンウェハというのは半導体ICを製造する際に原材料として使用するシリコンの単結晶の板です。イチケンでは以前加賀東芝エレクトロニクス様にお邪魔してパワー半導体の製造工程を見学しています、その際の動画もどうぞ。

今回購入したシリコンウェハですが、既に回路がある程度作り込まれているものでした。見た目にも綺麗ですし、どういった製造工程をたどっているのかよく分かりますので教育用にも使えそうです。

今回AliExpressから購入する際にちゃんとしたものが届くか心配でしたので、合計で4枚購入しています。小さい方が8インチ(約200mm)で、大きいほうが12インチ(約300mm)の直径です。商品ページのラインナップには6インチのものもありました。

拡大してみてみる

300mmのシリコンウェハをアップで見てみるとこのような形で、いろいろなサイズ・回路構成のチップが混載されていることが分かります。これらの回路はいずれもメモリー系やロジック系のICのような、そんな印象です。

ちなみにICチップの製造というのは複数の設計が一つのウェハ上に混ざって作り込まれる場合と、同じ設計のチップだけが一面びっしりと作り込まれるパターンのそれぞれが存在しています。

いずれにせよ今回購入したウェハはダイシングと呼ばれるチップごとのサイズに切り分けられる前の状態のものです。なお、それぞれの回路が動作する状態まで作り込まれているのかは不明です。

表面の青いもの

もう一つの表面が青っぽくなっている300mmウェハについても細かく見ていきます。

こちらのウェハにはチップは一種類しかありません。全面にびっしりと同じ設計のチップが作り込まれています。どういった機能を持っているのかは不明ですが、少し気になります。

こちらのウェハの表面が青くなっているのは製造の工程で何かしらのマスク処理(酸化膜やパターンエッチングのためのフォトマスクなど)がされているためかと思います。あとは表面を保護するような目的もあるかもしれません。

ウェハの専用ケースも買いました

今回シリコンウェハを購入するにあたって専用のケースも購入しています。

こちらのケースですが実際の半導体製造現場でも使用されているミライアル製のケースで、定価が15,000円程度します。ウェハのサイズ自体は規格に沿ったものですので、AliExpressで購入したウェハも問題なく収まっています。

非常にしっかりしており、また、ウェハそのものは軟質のプラスチックがそっと押さえるような構造で、中でウェハがガタガタと遊ぶようなこともありません。

所感

完全にノリだけで購入したシリコンウェハですが、回路が作り込まれていることもあってこうして写真立てなどに立てかけておくとなかなか良い見た目をしています。(写真立てはオマケでついていました)

教育用に模型(といっても本物ですが)目的で購入してみたり、また純粋にインテリアやプレゼントとして贈り物にするにも良さそうです。

余談

シリコンウェハが丸い理由について。動画では特に触れていませんがちょっとだけ紹介しておきます。

シリコンウェハはその名が示す通り超高純度のシリコン(ケイ素)で出来ています。原材料となるシリコンと微量の不純物を溶解した後で、ギリギリ固体化する温度を保ったままゆっくりと一つの大きな単結晶塊にしていきます。小学校などで塩やミョウバンの結晶を作成した方もいるかも知れませんが、絵面としてはアレです。

この際シリコンの単結晶の塊は”るつぼ”から少しづつ引き上げるようにして生成するため円柱状の塊となり、また回路を作り込む際にはそれを薄くスライスして使用するため、円盤の形をしたウェハが生産されるわけです。

なお、単結晶の塊を溶解したシリコンから取り出す工程なのですが、絶妙な温度・種結晶の回転速度・引き上げ速度が揃わないとうまく生成することが出来ず、半導体製造の黎明期には大きな技術的困難を超える必要がありました。もし興味のある方はNHKが1990年代に制作した「電子立国日本の自叙伝」というNHKスペシャルシリーズを視聴することをとても強くおすすめします。(スタッフ)

リフロープレート(USB-PD)

つぎはこちらの小型リフロープレートです。USB-PDで動作するもので、背面には給電ポートと操作ボタンがあります。

こちら購入してからイチケンの事務所で暫くの間使用していました。1,900円程度と安価でしたが、今のところ十分使用できています。加熱プレート部分には温度センサが伸びており、指定した温度まで加熱してくれます。

小さい基板の部品実装はもちろん、プレートに収まらないサイズの基板でも一部の表面実装部品のリフローや、熱容量が必要とされるパターン部分・大きな部品の予熱にも使用できます。

はんだを溶かしてみる

性能のベンチマークとしてはんだがしっかりと溶けるか試験してみます。今回は小さく切った生基板の上に鉛フリーはんだ(千住金属工業 SENシリーズ 0.6mm)を置いてみました。

本体のOLEDの表示で200℃程度になった辺りからはんだが溶け始めました。使用する分には問題なさそうです。

なお、最高温度の設定が350℃となっていましたが、実際のところ加熱能力の限界や放熱によって350℃まで満足に加熱するというのは難しい印象でした。だいたい270℃程度で頭打ちとなります。

温度について

本体に表示されている温度と、加熱面の温度の差も測定してみました。日置電機のDT4282に熱電対を接続しています。

温度の差としては実際の温度のほうが14℃程度高くなるような結果となりました。大雑把に使う分には問題ないかと思いますが、正確に把握したいといった場合にはキャリブレーションを行っておくとよいかと思います。

微妙ポイント

さっと使う分にはUSBから電源が取れることもあり基本的に満足はしているのですが、いくつか微妙ポイントもあります。

まず、電源や操作ボタンが本体背面に配置されている影響で、本体下部を掴むようにして操作することが求められます。もちろん上部については数百度まで加熱されている状態ですので、掴む所を間違えると即やけどします。

また、軽量にできている一方で本体の作りはかなり簡素なので、机においても滑ってしまったりガタガタして安定しません。イチケンの事務所に転がっていたゴム足を貼り付けて多少マシにはなりましたが、USBケーブルを少し引っ張るとすぐ滑ってしまうので注意する必要があります。

また、天板の部分は水平度が出ていません。下部と熱的に絶縁する必要がありやたらスペーサを噛ませてアルミの板が浮いているのは分かるのですが、精度が甘く平らではないため基板などを置いたとしてもどうしても密着度は低くなります。

ご購入の際はこちらからどうぞ

リフロープレート(AC)

次もリフロープレートです。こちらのほうが少し大型で、操作部分などは全面に集中しています。

こちらはMECHANICというブランドのリフロープレートです。先程のPDで動作するものより値段も少し上がって2,000円台後半でした。送料をいれるともう少し高くなります。

こちらのリフロープレートですが、USBからの給電ではなく交流電源で動きます。製品のバリエーションとして200Vと110Vの物がありましたので、日本で使用する場合は110Vのものを購入するようにしましょう。

なお、コンセントに繋がるケーブルはコネクタで脱着できるようになっているのですが、この黄色いコネクタはXT30コネクタのような見た目をしていますので、恐らくDC用のものかと思います。なお、例のごとくPSEマークはありません。

使用感チェック

こちらも加熱性能をチェックしていきます。全体的に先程のUSB-PDのものと比べて温度上昇が遅い印象を受けますが、恐らくプレートのサイズと熱容量が大きくなっているのが原因かと思います。せっかくのAC給電ですのでもう少しパワーが欲しい所です。

先ほどと同じように鉛フリーはんだを置いてみました。一応溶けましたのでリフロー用途には問題なく使用できそうです。

なお、こちらのプレートについても設定温度と表面の温度を比較したところ、実測値のほうが設定より30℃程度低くなっていました。思ったよりは差がある印象ですので、一部の鉛フリーはんだを使用した場合には解けないといったことも起きるかもしれません。

ただし、プレート面の平滑度については先程のコンパクトなリフロープレートよりは出ているようです。こちらの製品の方がプレート自体の厚みもあるようですので、基板に効率的に熱を伝えられそうです。クリップも最初から付属していますので、基板を乗せた際の安定性なども良いかと思います。

所感

以前から表面実装部品を使用した基板のリフローには市販のホットプレートを使用していました。ただ、基板を作るたびにホットプレートを出すとなると机の上の整理や片付けの手間など、けっこう大変でした。

小型の回路であったり基板を少量だけ生産すると言った場合にはかなり便利ですので、使用する場面のありそうな人はこういった小型リフロープレートを一台くらい持っておいても損はないかと思います。価格も2,000円~4,000円程度で購入できます。

ご購入の際はこちらからどうぞ

表示機能付きテスター

次に購入したのはこちらのテスターのような商品です。少し前から国内某所でプローブに表示機がついたテスターが販売されているという情報を見かけていましたので、似たようなものを探してみました。

外観について

こちらの製品も先程のリフロープレートと同じMECHANIC製品です。購入時の価格は8,700円程度でした。追って紹介しますが、測定できる項目に対して価格が高すぎます。正直微妙な買い物でした。

こちらの製品の一番の特徴がプローブに内蔵された液晶(正しくはOLED)です。測定した数値は本体のディスプレイと合わせて三箇所に表示されます。当然のように三箇所全て同じ数値です。

本体はアルミでできており、液晶内蔵プローブのほかにバナナ端子からワニ口クリップなども繋げられるようになっています。また、内部にバッテリーが内蔵されていますので、小ぶりな割に安定している印象でした。

機能

測定できる項目は

  • 直流電圧
  • 短絡開放検出(いわゆる導通テスター)
  • ダイオードの順方向降下電圧測定

の3つです。取扱説明書を何度も読みましたが、これだけの様です。

直流電圧を測定した場合、手元のディスプレイ2つに電圧が表示されます。更新頻度はかなり高く使いやすいといえば使いやすいですが、残念なことにこのテスターでは25V以下の測定しか出来ません。25V以上の入力をしても24.198Vの表示で止まってしまいます。

本体についているボタンですが、下側のモード切替スイッチを長押しすることでプローブ部分の表示が反転し、左利きにも対応できるようになっています。

付属の説明書にスペックがありましたので一応掲載しておきます。

機能スペック
カウント25000
表示桁数4.5
精度0.2mV
電圧表示範囲-24.000 ~ +24.000
PN接合測定範囲0.0000 ~ 1.9999
電圧測定誤差0.1%
動作電源電圧(外部)5V
これらが信用できる数値かどうかは不明です

微妙ポイントなど

この製品の微妙ポイントとしてなによりも痛いのが、測定できる項目が3つしか無いことです。プローブ部分に表示機があるというのは確かに便利な場面もありそうですが、この値段を払うほどのものではありません。

以前の動画で紹介した激安デジタルマルチメータがたくさんの機能をもって3,000円程度であったことを考えると、よほど特別な目的がない限りこの製品の存在意義は微妙な所です。

なお、まだ見ていない方はそちらの動画もどうぞ↓

また、これは個体差というのもあるかと思いますがプラス側のプローブの一部が錆びついていました。先端部分はネジ式で交換可能になっているようで予備部品などもついてはいたのですが、プローブ側の雌ねじまで錆びてしまっていましたのでかなり微妙です。

せっかく別系統の入力としてバナナジャックなども用意されているるので、そちらに入力した電圧を基準としてプローブ側ではそれぞれ独立して電位差を表示するなど、工夫できる余地はあるのではないかと思います。

ご購入の際はこちらからどうぞ

松脂噴霧器

本体

そして最後の商品ですが、こちらは松脂を蒸気状にして噴霧する機械です。1400円程度で購入しました。

本体の構造としてはVAPE(ベープ)と呼ばれる電子タバコの一種と全く同じかと思います。先端部分には電熱線の通った皿状の部分があり、こちらに砕いた松ヤニを置いて加熱するとすぐに溶けます。

使用感

こちらの機械ですが、中国の修理系の動画などでよく見かけます。たとえば回路上で一部や意図しない動作をしている箇所があったりすると異常な発熱を起こします。

発熱している部分だけ松ヤニの蒸気は溶けて見えなくなりますので、原因箇所の特定に繋がります。

今回は発熱を模擬するためにチップ抵抗に直接電源をつなげて発熱するようにしてみましたが、見事に発熱している部分だけ松ヤニが溶けています。実はよく見るとパターンが切れていて発熱していないチップ抵抗がいるのですが、松ヤニを噴霧したことで可視化に成功しています。

ご購入の際はこちらからどうぞ

サーモグラフィーの方が良い

このように松ヤニを使うことで発熱箇所の特定ができるわけですが、正直なところ温度変化を確認したいだけであればサーモグラフィーを使用したほうが分かりやすいです。

装置自体の価格は上がってしまいますが、最近ではスマートフォンに直接繋げられるサーモグラフィーも数万円で購入できるようになっていますし、とにかく一目瞭然で分かりやすいです。

イチケンが最近使用しているサーモグラフィーは以下の製品です。

まとめ

というわけで最近AliExpressで購入したものを色々とレビューしてきました。

海外通販、特に中華系の通販で購入したものがアタリの物かハズレのものかというのは実際届いてみないとわからないことが多いです。今回購入してみた中ではシリコンウェハなどはかなりアタリであったかなと思っています。

また、最近のAliExpressですが、注文してから1週間前後で到着することが多くなってきました。以前は数週間から1ヶ月以上となることも珍しくなかったのですが、最近物流網に変化があったのかかなり使いやすくなってきた印象です。

今後も継続的になにか面白そうなものを見つけたら実際に購入してみたいと思います。

動画についてもまだご覧頂いていない方がいらっしゃいましたら、是非合わせてご視聴頂けると嬉しいです。一件にレビューして欲しい電子工作グッズなどありましたら、是非LINEや動画のコメント欄などにお送り頂けると幸いです。

それでは最後までお付き合い頂きありがとうございました。

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