UGREENの300W USB充電器を分解検証 【これ産業用電源だろ!!】

イチケンではこれまでAnkerやUGREENの製品を中心に、様々なUSB充電器を分解・検証してきました。今回はそれらとは一線を画す規格外のUSB充電器として、UGREENから発売されている最大300W出力の「UGREEN Nexode 300W 充電器」を分解して、その性能や構造を評価していきたいと思います。

ちなみに今回分解した製品は以下のものです。

なお、例のごとくYouTubeチャンネルでは動画もアップしていますので、是非こちらも合わせてご覧いただけますと幸いです。動画ではUGREENの最新製品(動画公開時点)であるNexode Xシリーズとの比較も行っています。

目次

製品について

まずは外観から確認していきます。300Wクラスともなると持ち運びを前提として設計されてはおらず、机の上などで固定された状態で使うようなサイズ感となっています。ACプラグも本体から生えているわけではなく、かなりしっかりした電源ケーブルでコンセントに繋ぐ様になっています。

USBの出力ポートは前面にまとめられており、USB-Aが1つとUSB-Cが4つの合計5ポート用意されています。全ポートから同時に出力することもできるという非常に欲張りな構成です。

また、USB-PDの対応状況としては最新のUSB PD 3.1に対応しており、本製品の最も大きい出力は「28V 5A」の「140W」です。ちなみにパッケージを見る限りGaN(窒化ガリウム)半導体が使用されているようです。

USBポート部

本体正面のポートを確認していきます。一番上のC1ポートが48V 5Aの最大140Wが出力できるポートで、C2とC3は20V5A 100Wまでの対応です。

このほか、C4とUSB-Aのはやや抑えめの出力で、C4が25WUSB-AがUSB QC3で22.5Wまでの出力に対応しています。

なお、それぞれのポートの出力の組み合わせで最大何Wまで出力できるかは取扱説明書に記載されています。基本的にUSB-Cから給電する場合は上から順に強いポートとなっていますので、その順番で大電力での充電に対応したデバイスを接続していけば良さそうです。

性能について(公称スペックまとめ)

ここからはスペックを性能別にまとめていきます。今回も製品の性能を計る指標として

  • 体積あたりの電力
  • 質量あたりの電力

を算出しました。なお、比較として同じくUGREENから発売されているNexode X 100Wのスペックもまとめているほか、過去のUSB充電器分解企画でもそれぞれの数値をまとめていますので、興味のある方はぜひそちらもご確認下さい。

電力密度について

まずは公称の電力値と重量(以後質量)ですが、300Wという出力の大きさに伴い本体も868gというかなりの重さになっています。据え置きで使用することを想定してか、本体の体積も564cm3と遠慮のないサイズ感です。

ちなみに、比較用に用意したNexode X 100W充電器からすると体積比では約5.5倍となっており、電力が3倍になっているから体積も3倍程度というわけではなくそれ以上に大きくなっている事がわかります。

次に体積あたりと質量辺り、それぞれの電力密度を算出しました。これらの数値は高ければ高いほど製品として優れている≒高性能ということになります。

体積あたりの電力では1cm3あたり0.53Wになります。これまで製品のスペックをまとめてきた限りでは1cm3あたり1Wを超えてくるとかなり高性能なUSB充電器と判断して良さそうなので、今回の0.53Wは体積対電力比でみるとまずまずの性能と言えます。

次は質量1gあたりの電力値で、こちらは0.35w/gという数値になりました。数百Wクラスの製品ということもありますが0.5W/g辺りからかなり高性能と言えるかと思いますので、なかなか健闘はしている印象です。

考察

ここまでスペックから読み取れる性能について算出してきましたが、全体としては健闘はしているもののイマイチな数値となっていました。これらの数値があまり伸びなかった要因のひとつとしてマルチポートであることが挙げられます。

今回分解するNexode 300W 充電器は合計のポート数でいうと5ポートあり、給電に使用する内部の回路やUSB周りの実装部品の多さにより、どうしても本体の重量や基板の規模が大きくなってしまいます。このため他のUSB充電器と比較すると電力密度がどうしても低下してしまいます。

この特長はUGREENに限った話ではなく、マルチポートのUSB充電器に総じて言えることかと思います。

変換効率の測定結果

さて、ここまでスペックシートから読み取れる性能についてまとめてきましたが、電力の変換効率の測定も行いました。これまでのUSB充電器のレビューでも度々取得しているデータになりますので、気になる人は過去の測定結果とも比較してみて下さい。

ちなみに余談にはなるのですが、今回の300W充電器はポートが5つもある影響で、測定の条件出しや測定機器の設定にかなり苦労しました。本製品では300Wを出力させるには必ず複数のポートから出力を行わなければ行けないため大変でした。

1ポート使用時

まずは1ポート使用時(最大140W出力)の変換効率についてです。取得した数値をグラフにすると次のとおりです。

やはり最新のUSB充電器だけあって効率は90%にせまるなど、かなり高性能な影響です。ただし低電力しか出力していないときの変換効率は低めとなる傾向があります。これは他の製品でも見られる傾向です。

最大300Wの出力に耐えるために回路規模が大きいことが推測されますので、内部で発生する損失は大きくなります。20~30W程度しか出力していない低電力(といってもUSB充電器としては十分な数値)で動作しているときは回路規模に対しての出力の小ささが原因で効率が下がる結果になっているものと思われます。

20Vと28Vの出力で動作しているときの効率カーブがこちらです。全体を通して90%前後に収束するなど、かなり20/28V出力時にあわせた最適化設計が行われているような気がします。なお、28V出力時の最高効率は91.8%とかなりの数値になっていました。

最大負荷(3ポート合計300W)出力時

次に300Wの負荷を取った際の効率も測定しました。なお、本製品の最大の特長である300Wを出力させるには2ポート以下では引き出すことが出来ず、次の3ポートから電力を取る必要があります。

構成としては

  • C1 : 28V 5A (140W)
  • C2 : 20V 5A (100W)
  • C3 : 20V 3A (60W)

の組み合わせです。それぞれのポートに対して電流値を最大値の1/10ずつ設定しながら10段階の計測を行いました。このためC1は14WC2は10WC3は6W刻みで出力が増えていく構成です。

こちらが最大300W出力時の効率カーブです。最大効率はだいたい200W付近で91.6%前後となりました。ちなみに横軸が先程までの200Wから300Wに増えており、正直ここまで来ると調理家電のような消費電力です。

損失についてもグラフにしてみるとこのような形となります。先程までの効率に当たる縦軸が損失に変わっています。

出力の電力が増加するとそれに比例して損失も増えていく形で、300Wの出力時の全体の損失は31Wとなります。効率が90%程度ですので全体の10%ほどが熱として損失されるのは分かりますが、それにしてもこの充電器の筐体にから30Wを放熱するというのはかなり厳しい動作条件かと思います。

余談

余談ですが、今回の電力効率の測定では複数ポートを使用することもありかなり構成に苦労しました。2次側の電力を測定するためには電流と電圧、そしてコントロール可能な電子負荷が必要になるわけですが、3ポートの測定ということもありイチケンの事務所の機材フル動員となりました。

また、測定もシーケンスメーカーというEXCELプラグインで自動化しているのですが、このあたりの測定環境については今後機会があればまとめられたらと思っています。

おまけ:Nexode Xシリーズの効率測定結果

ちなみに今回は300W充電器の他にも最新の「UGREEN Nexode X」シリーズの65W, 100W, 160Wの製品も調達していました。これらについても各PDOごとの効率測定を行いましたので、測定結果のグラフのみ掲載しておきます。

温度測定

全体の効率と損失の測定が出来たところで、300Wフル負荷動作時の本体の温度測定も行いました。

結果として、300W連続動作時の表面温度としては約60℃程度まで確認が出来ました。

今回は2台の300W充電器を用意して実験を行っているのですが、そのどちらも最大出力のまま20分程度動作させているとあるときUSB-Cポートが指定した電圧(PDO)で動作しなくなってしまします。このため今回は「約60℃程度まで確認が出来ました。」という表現止まりです。

おそらく内部の温度は60℃よりもっと高いことが想定されますので、しっかりと加熱保護が働いている証拠かと思われます。

ただし、安全機能が働いている事自体は良いのですが、製品としては少々どうなのかという印象も抱きます。

製品のスペックとして300W出力が可能であることを謳うのであれば、やはり300Wの状態で連続で運転しても問題なく動作することが求められるのではないかと思います。今回の製品はファンで内部の冷却ができる開放型ではなく、パッシブでの冷却のみに期待する密閉型の製品ですので放熱方面で辛い面もあるかとは思いますが、正直もう少し頑張ってほしい箇所です。

分解してみる

ここからは分解検証を行っていきます。まずはプラスチック製の外装を、カッター(と力技)で剥がしました。

合計で3つの面に厚手の熱伝導シートが貼られており、内部の金属筐体をぐるっと取り囲むような構造となっているようです。また、内部の電源本体を見ると金色の金属のシートが一周ぐるっと巻かれているような構造をしています。

全面のUSB端子の実装されている部分にも樹脂シートに貼り付けられた金属シートがあります。背面の電源ケーブルの刺さる面についても一見穴が空いているように見えますが少し奥まった所にはしっかりと金属シートがあり、全面が完全に覆われるような構造となっています。

これらの金属シートについては基板にはんだ付けされており、熱伝導の役割を果たしつつノイズを外に出さないシールドの役割も担っているかと思います。いずれにいしても密閉型で300Ww取り扱うのにはかなり力の入った構造が必要なようです。

金色の金属は厚みがだいたい0.6mm程度で非磁性の金属で出来ています。少しだけ削ってみましたが表面以外部分でも金色になっていましたので、真鍮のような素材かと思われます。

本来的には銅で作るのが一番放熱的にも導電率的にも良いかとは思いますが、重量と製品のコストがすごいことになってしまいますので使用されていないということでしょうか。ちなみに真鍮は銅・アルミと比べると熱伝導率はやや劣ります。

USB端子の面の金属シートは全体を覆っている物よりも薄手になっていてかなりペラペラとしています。裏面には黒い樹脂製のシートも一体となるよう貼り付けられており、手で力を加えるとグニャグニャと簡単に曲がります。

なお、USB端子の基板には灰色の熱伝導シリコンと思わしきものがかなり多めに充填されていました。インダクタの内部にまで充填されているところ見るに、かなり発熱があるのではないかと思われます。

基板の裏側、本体回路との間の空間側にも金属シートが隠れていました。基板から順に基板>熱伝導シリコン>樹脂シート>金属シートの順となっており、基板と金属シートで熱伝導シリコンをサンドイッチしているような、かなり手の込んだ構造となっております。

主変換回路部分

本体に戻って黒いプラスチックのシートを外した所です。かなり厚手の熱伝導シートと、先程も見かけた灰色の充填するタイプの熱伝導シリコンが多用されています。これについてはインダクタや変圧器(トランス)などの凹凸の多い部品に対応するためかと思います。

ただし、このシート状の熱伝導シリコンですが、大きめの電解コンデンサの防爆弁を覆うような形で貼り付けられています。おそらく防爆弁が作動する様な事があっても熱伝導シリコンの押し付け圧より吹き出す圧力の方が強いかと思いますので問題ないという判断をしているのかもしれませんが、実装方法としてこれがどの程度許されるのか正直なんとも言えません。

なお、こちらの主回路側においても発熱の多い部品の隙間を埋めるように充填するタイプの熱伝導シリコンが各所に使われていました。充填タイプで隙間を埋めた後に、シート状の熱伝導シリコンを被せるような組み立てをしているものと思われます。

なお、基板の部品面を覆っていた金属板をどかしてみるとICなどの表面実装部品が実装されており、これらの放熱にも熱伝導シリコンが使われています。こちらは塗布された状態のままある程度固く固まるような性質のものとなっており、どちらかというと熱伝導グリスのような印象です。

回路の解説

製品の分解が完了しましたので、次は回路を追って全体の構成について解説を行っていきたいと思います。

今回の製品の実物から実際に回路構成を読み取って(リバースエンジニアリングして)みたところ、主に3ブロックに分かれていることが分かりました。

  • 入力(一次側)フィルタ回路
  • 主電力変換回路
  • USB出力用変換回路

の順です。

入力フィルター部

まずはこちらの100Vが入力されている側のフィルタ回路周りを見ていきたいと思います。3ブロックのうちの1つと解説しましたが、実際にはフィルタと全波整流回路がまとめられている部分で、実物だとこのあたりの回路が該当します。

フィルタ回路については電源コネクタ端子からインダクタまで一つの小さめの基板にまとめて部品が実装されており、メインの基板には基板端面がスリットに噛み合った状態ではんだ付けされるような構造となっています。

回路図でいうとフィルタ回路の左側半分の部分に相当します。部品としては「ヒューズ」「NTCサーミスタ」「コモンモードチョークコイル」といくつかのフィルムキャパシタで構成されています。

やはり300Wの出力を扱う製品ということで発生するノイズに対して外に出さないよう、USB充電器としてはかなり気合を入れた構成になっている印象です。

また、先程の小さい基板側だけではなくメイン基板の方にもフィルタとして機能する大型のコモンモードチョークコイルが実装されているのですが、こちらの部品については平角線の使われたコイルが使用されていました。

通常の丸い断面積を持った導線(銅線)のコイルとは違い、同じ容積内でも断面積が大きくできるため電流容量を稼ぐことが出来ます。また、巻数を増やすことも出来ますので、こういった大電力に向いた部材を選定しているようです。

余談

ちなみにこの平角線を使用したフィルタ用コイルは、日本の 株式会社ウエノが開発した「ウエノコイル」がオリジナルです。ただし、構造としては至ってシンプルであり模倣品も多いため、今回分解したUGREENの製品で使われているものがどこのメーカーのものかは不明です。

全波整流回路部

回路図右側に配置されていた全波整流回路部分についても部材を見てみます。

放熱用の金属シートを取り外すと金属シートを挟み込むように2つのダイオードブリッジが実装されていました。部品を並列に2つ実装して損失を分散させることで、一つ一つのダイオードブリッジの温度上昇を抑えているのでしょうか。

ちなみに余談にはなるのですが、ダイオードブリッジと金属シートの固定にはネジとナットで共締めするような手法が取られており、ただでさえ狭いスペース内でいきなり横向きにネジを留めるという、かなり組み立てに苦労しそうな設計となっています。

全波整流回路を通って直流に直されたあとは、CLCのフィルタ回路を通ってメインの変換回路へと続くような構成になっています。

電力変換回路部分の解説

電力変換回路部分の回路についても回路図に起こしてみました。

こちらの変換回路ですが、全体としては力率改善回路(PFC回路)とLLCコンバータが使われる構成となっています。また、PFC回路には並列にダイオードとNTCサーミスタが接続されており、電源投入時の突入電流対策となっているようです。

PFC回路部分に使われているインダクタを取り出してみるとこの様になっています。外側をコアに覆われているタイプのインダクタで、今回使用されている部品の中でも一番大型の部品です。

また、PFC回路に使われている半導体スイッチには窒化ガリウムパワー半導体(GaN MOSFET)が使用されていました。

メーカー名はNavitasで、表面実装タイプの部品です。メイン基板の裏面に2つ表面実装されています。

また、GaN-FETの上流にはフェライトビーズのようなリード足タイプの磁性体部品が接続されていました。細かな測定はしていないため憶測になりますが、おそらくスイッチング速度が早すぎてとんでもない量のノイズが出てしまうため、その対策としてこういった部品を実装しているのではないかと考えられます。

また、PFC回路の後段の部分にダイオードが実装されているのですが、驚いたことに今回の製品にはグローバルパワーテクノロジーという中国系メーカーの部品が実装されていました。ちなみにショットキーバリアダイオードの様です。

通常であればこの部分のダイオードにはシリコンの部品が使われるところ、今回はSiC(炭化ケイ素半導体)が使用されていました。回路図でいうとこの以下の部分に当たります。

中国系のメーカーであってもこの様な高性能なパワー半導体を製造することができるようになってきている事の証左かと思います。

いずれにしろこういったPFC回路部分は電源アダプタの中でもハードスイッチングをしているような回路になります。SiCを使用していることもそうですが、GaN-FETなど最新のパワー半導体部品を積極的に採用して、スイッチング損失や部品のオン抵抗を下げていく設計思想のようです。

PFC回路と変圧回路の間には塀活用と思われる電解コンデンサとMLCCが実装されています。MLCCについては4並列で裏面にあります。大きめの電解コンデンサが2つについても「Acon」という中国系のメーカーの部品が実装されていました。450V 100uFで105℃グレードの製品です。

そしてこれらの後段にあるのがLLCコンバータの回路です。使用されている変圧器もやはり300Wに対応するためにそこそこ大きめの部品が使用されています。

また、LCの共振回路部分については入力フィルタでも見られたように小型の別基板に、インダクタとキャパシタをまとめて実装しているような形になっています。メインのLLCコンバータとは別にインダクタを配置することで、共振周波数の調整を行う役目があるのではないかと思います。

余談:使用されている半導体部品について

LLCコンバータに使われている半導体部品についてですが、一次側二次側ともにInfineonのNch-MOSFETが使用されていました。GaNでは無いようです。

LLCコンバータはハードスイッチではなくソフトスイッチングで動作させることが来ます。このためGaN部品を使用せずともそこまで損失が大きくなることは無いという判断でしょうか。

ちなみにPFC回路とLLCコンバータ双方で、制御にはNXPセミコンダクターズの電源ICが使用されていました。二次側の整流回路の制御にも同じくNXPの電源ICを採用しているようです。

なお、LLCコンバータを通過したあとに配置されているコンデンサをよく見てみると、赤いインクで「PolyCap」と刻印されていました。詳細までは調査しきれなかったのですが、中国系メーカーの高分子アルミ固体電解コンデンサのようです。

USB出力変換部

そして最後にUSBに出力を行う部分の電圧変換回路があります。これについては最初の分解時にも見て取れたように別基板にまとめられるような状態となっています。

USB出力基板の構成ですが、基本的には単純な降圧コンバータが5回路分入っているものです。USBの出力がType-Cの4つとType-Aが1つの5つありますのでその数だけ変換回路も用意する必要があり、インダクタなどのそこそこ大きめの部品についても5個ずつ実装する必要があるというわけです。

USB-Cの出力にはUSB-PDのコントローラを実装する必要があります。今回の300W充電器では全ての出力ポートでiSMARTWAREから発売されている、PDコントローラとPDコントローラと降圧コンバータを同時に制御できるICが使われています。

iSMARTWAREのSW3526という製品で、どうやらUSB Type-AのQC出力もこれでコントロールしているようです。やはり出力ポート数を増やすとそれだけコントローラや変換回路を実装する必要がありますので、回路規模が大きくなってしまう一因となっています。

今回のまとめ

というわけで今回はUGREENから発売されている300WのUSB充電器の分解レビューをしてきました。近年USB-PD充電が一般化したおかげで45Wや65Wの製品を手に取る機会も増えてきましたが、流石に300Wともなるとほとんどスイッチング電源のような規模の部品が使われていました。

また、分解して基板を確認して分かったことですが、少し前まで主流であったスイッチング用のパワー半導体と制御回路が一体になった電源ICがほとんんど見受けられず、パワー半導体と電源ICを別々で組み合わせているなどの特長がありました。

ここ最近USB充電器の電力はどんどんと高くなる(W数が大きくなる)傾向にあり、そういった用途に対応する電源ICもあまり選択肢はありません。また、パワー半導体や制御ICといった電源変換回路にとって重要な部品については中国系メーカーが入り込む余地は少なく、実績のある欧米メーカーのものが採用されている印象もあります。

ただし、PFC回路部分でのSiCショットキーバリアダイオードの例など、中国系メーカーの半導体部品も一部では採用されているようですので、そういったハイスペックな部品であっても中国系メーカーの製品がすでに市場に組み込まれているという点はかなり興味深いポイントです。

しかし内部の構成が興味深い作りをしている一方で、やはり300Wというのはやや無理があったのか連続負荷をかけると加熱保護が働いて使用が制限されるという挙動も確認できました。連続して最大出力を引き出すような使い方をすることはレアケースかと無いかと思いますので、実使用には影響ない仕様かと思います。

動画もあります!

ということでここまでお付き合い頂き誠にありがとうございました。今回の分解レビューにつきましてはYouTubeで動画も公開しておりますので、まだ見ていないよという方は是非そちらもご覧いただけますと幸いです。

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