ペルチェ素子というものがあります。一般に電子部品として販売されているものはこの様に、電線の生えた白いセラミックの板のような見た目をしています。
ペルチェ素子はなかなか不思議な電子部品で、みなさんも名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。電流を流すと片方の面の温度が上がり、もう片方は冷えるという動作をします。
今回はこのペルチェ素子の性質を利用した実験をいくつかしていきたいと思います。なお、本ブログの内容は動画でも公開していますので、こちらも是非チェックしていただけると嬉しいです。
ペルチェ素子について
まず簡単な実験として、安定化電源を用意してペルチェ素子に電流を流してみます。電流を流していない段階でのペルチェ素子表面の温度はおおむね室温と同じ(夏場に撮影したので30℃弱)です。ここに電流を流すとどうなるか
サーモグラフィーで表面が一気に冷え始めたことがわかります。冷たい面で10℃前後、もう片方の発熱している面を確認するとおおよそ55℃程度とかなり熱くなっている事がわかります。
ここで電源に繋いでいる配線を入れ替えて電流の流れる向きを入れ替えてみます。この状態でもペルチェ素子の2つの面はそれぞれ発熱と冷却が行われていますが、よく見てみると先程まで発熱していた面が冷えていて、冷えていた面が発熱するという、2つの面の温度が入れ替わるような状態になりました。
ここまでで、ペルチェ素子では電流を流すといずれか一方が熱を持ち、もう一方の面は冷えるという現象が起きることがわかりました。この現象を正式には「ペルチェ効果」と呼びます。
ペルチェ効果とはなにか
ペルチェ効果というのは「異なる金属が接合されたものに電流を流すと、片方の金属からもう片方の金属に向かって熱が移動する現象」のことです。1834年にジャン・シャルル・ペルチェという人物が名付けたことからこう呼ばれています。
要するに先程の実験では片方の面の熱がもう片方に移動したため、熱い面と冷たい面に分かれた形です。
なお、今日における電子部品としてのペルチェ素子は、2種類の金属ではなく金属と半導体の接合を利用して作られています。原理的にはすべての金属の組み合わせでペルチェ効果は確認できますが、P型半導体とN型半導体の間に金属を挟み込むような構造で繋げることで効率が良くなるようです。
まずP型半導体の位置する方にプラスの電源をつないだ状態を考えます。この状態では図の下の面が吸熱され、上の面に向かって熱が移動するような状態になります。熱が移動した先で放熱をおこなってやることで下の面からは熱が奪われ続けますのでより温度を下げることも可能です。
ちなみに日本では主にペルチェ素子と呼ばれているこの部品ですが、英語だとサーモエレクトリッククーラー(Thermo Electric Cooler)の頭文字を取ってTECなどと表記されることが多いです。部品を探す際には参考にしてみて下さい。
さて、冒頭の実験では電源の接続を入れ替えて電流の流れる方向を入れ替えてやると、発熱している面と冷えている面が入れ替わっていました。つまり、電流の向きを変えることで熱の移動する方向を変化させることができるという事を指し示します。
この図の場合、先程までは下から上に移動していた熱が今度は上から下に移動しますので、下の面が暖かくなります。
ペルチェ素子モジュールについて
ちなみに電子部品として購入できるペルチェ素子は白い板からリード線が生えているような見た目をしています。これは「セラミック基板(アルミナ基板)」を使用しているためです。
先程述べたように、ペルチェ効果を利用するペルチェ素子の主な部材は半導体と金属(と配線など)です。ただ、多数の半導体を直並列にしながらモジュールとして作り込んでいくには何かしらの基材の上に配置してやる必要があります。
ここで登場するのがセラミック基板で、多少衝撃に弱かったり欠けやすいという特性はあるものの、通常のガラスエポキシ基板などに比べて熱伝導率の面で非常に優秀です。このため、ペルチェ素子では白い板に挟まれたような見た目をしていることが多いです。
ペルチェ素子の注意点について
さて、ここまでペルチェ素子の紹介をしてきましたが、電流を流すだけで熱を制御できるというかなり便利な部品であるような気がします。ただ、実際に使用する際には意外と気を使わないといけない点も多く、そこまで扱いやすい部品ではありません。
まずペルチェ素子は比較的消費電力が大きいです。定格や本体のサイズ、耐えられる上限温度にも左右されるものの、おおむね数十ワットほどはペルチェ素子単体で消費します。
この、ペルチェ素子そのものが消費する電力というのはそのまま熱として消費される形になりますので、熱が移動して発熱している面では、移動した熱に加えてこのペルチェ素子本体で発生した熱をしっかりと放熱しなければなりません。
放熱を怠るとどうなるか
このペルチェ素子の放熱がどの程度重要なのか、また、放熱を怠るとどういった挙動を見せるのかについて、実験で確認します。
現在ペルチェ素子には電流を流しています。熱が奪われる面の温度は10℃程度まで下がり、その反対の面が(移動した熱によって)発熱している事がわかります。ではこのままの状態で時間が経過するとどうなるのか見てみましょう。
特に発熱面の放熱をせずに放置すると、電流を流し始めた直後は10℃程度まで冷えていた面はおよそ20℃程度まで温度が上がってしまいました。また、反対側の放熱面は69℃と既に触れられない状態です。さらに放置します。
更に時間が経過すると吸熱面の温度はとうとう室温よりも高くなり、45℃を超えてしまいました。確実に先程までは冷たくなっていた面です。
これはペルチェ素子が消費している電力分の放熱が出来ていないため、ペルチェ素子全体の温度が上がってしまったことを指します。発熱するものから熱を効率的に奪うことが目的として使用する場合に熱を与えてしまっては意味がありませんので、ペルチェ素子を使用するうえでは放熱がかなり重要だということがわかります。
しっかりと放熱しながら使う
さて、ここまでで放熱の重要性については理解が出来たことと思いますが、単に温度が上がってしまうという理由だけではなく、ペルチェ素子自体の耐熱温度もまた、放熱に気を使わなくてはいけない理由の一つです。
ペルチェ素子には耐熱温度というスペックがあります。ペルチェ素子の放熱対策を行わずにこの温度を超えて使用した場合、ほぼ確実にペルチェ素子は破損して使えなくなってしまいます。実際に今回の企画中にも電流を流しすぎて何かがドロドロになって壊れてしまった素子があります。
ということで、壊さないように使用するため、そして吸熱面の冷却効果を確認するために、事務所に転がっていたヤケクソクソデカヒートシンクとサーキュレーターを使って強制風冷をしてみました。
この状態では放熱面の温度はヒートシンクを通じて空気中にどんどんと移動していきますので、その分だけ吸熱面の温度低下も促進され、マイナス30℃程度まで温度が下がる事が確認できました。(というより機器の都合で-30℃までしか測定できませんでした)
また、ペルチェ素子を2段重ねで使用することも出来ます。熱の移動量、キャパシティを増やすことができる構成ではあるものの、この状態ですと放熱の難易度も上がります。
1段目で移動した熱を2段目のペルチェ素子で吸熱して、さらにそこから放熱を行うという2段階の放熱をしているような状態ですが、この状態ではペルチェ素子の発熱分も倍になっているので、なかなか制御と放熱の関係などのノウハウが無いと難しいです。
とはいえこのペルチェ素子の多段利用はうまく行うと-30℃以上の冷却ができるかなり興味深い題材ですので、そのうちまた動画の企画として取り組んでみたいと考えています。
熱の移動以外の使い方について
さて、ここまでペルチェ素子の熱の移動という特性に注目して、主に電流を流す利用方法をしてきました。で、ここからが今回の企画の本題になるのですが、実はペルチェ素子ではその両面に温度差を作ってやることで電流を取り出すこともできるようになったりします。
ここからはペルチェ素子を発電素子として利用した場合、どの程度の発電が可能かを検証していきます。
電圧を測定
現在ペルチェ素子は電圧表示状態のデジタルマルチメーターに端子を繋いだだけの状態で、特に温度差を与えてはいません。この状態から人間の素手で片方の面を温めてみます。
なにやら0.05Vほどの電圧が出てきたことがわかります。片方の面をほんの少し温めてもう片方の面との温度差を作ってやることで、ペルチェ素子が発電している様子がわかります。
ただしこのままでは次第に手の熱がもう片方の面にも伝わっていきますので、ある時点でペルチェ素子全体の温度が平衡します。そうなると温度差で発電しているペルチェ素子は、電圧を出力することはなくなってしまいます。
このためペルチェ素子で発電を行う際には温度差を作ってやって、さらにその状態を維持するという事が大切なようです。
ちなみにこの温度差を与える≒異なる種類の金属が接合された部分に温度差を作ることで発電できる現象のことを、「ゼーベック効果」といいます。ちなみに今回は詳しく述べませんが、ペルチェ効果よりゼーベック効果の発見の方が先だったりします。
余談
ちなみこの2種類の金属接合で起きるペルチェ効果とゼーベック効果、一番わかりやすい例でいうと温度計測用の熱電対などに利用されています。先端に温度変化があると微弱に発電し、それを温度に変換して読み取っているわけです。
どこまで発電できるのか試してみる
ここからはペルチェ素子で本気で発電をしていきます。先ほど実験した通り、ペルチェ素子1つで発電できる電圧というのは実際の所かなり低いです。
このため、今回は温度差を大きくとりながら、さらにペルチェ素子を6個同時に使用して発電能力の検証をしていきます。
装置の組み立て
まず用意するのは先程も使用していたデカヒートシンクです。先程は放熱に使用していましたが、今回の発電実験においては熱源から効率よく熱を集めるための集熱器として利用します。
こちらのヒートシンク上にペルチェ素子を6つ並べていきます。今回は熱伝導が重要ですので熱伝導シリコンをよく塗り塗りしながらペルチェ素子を貼り付けていきます。あまり多量に塗ってしまうと熱伝導を妨げる原因の一つになってしまいますが、まぁ精密機器というわけでもないので適当に塗っていきます。
ちなみにペルチェ素子の本体、白く見えているところはセラミック状の構造をしています。取り扱いを間違えるとすぐに掛けたり全体が割れてしまいますので、ある程度扱いには気をつける必要があります。
さて、貼り付けたペルチェ素子上面に、今度はペルチェ素子を冷却するための熱源物を置く必要があります。今回は料理などで使われる金属製の深めのバットを用意して、この中に氷水を入れることで温度差を作ってやりたいと思います。
バットについてはバネで下向きに引っ張りながら軽く押し付けて固定する形に、また、このバットとペルチェ素子の間にもしっかりと熱伝導シリコンを塗り塗りして貼り付けます。
余談ではありますが、この熱伝導シリコンを扱う時にはゴム手袋をして作業することをおすすめします。組成としてはほぼシリコングリスのようなもので、水や洗剤ではなかなか落とすことが出来ません。あと、実験後にペルチェ素子とヒートシンクを片付ける際のことは考えずに実験しましょう。どうせ大変です。
また、今回の実験ではそれぞれのペルチェ素子は直列に接続して電流を取り出します。隣同士に並んだペルチェ素子のリード線をはんだ付けで接続してやったら装置の完成です。
温度差を与える
できる限りの温度差を作り出すために今回は下にロウソクの火、上のバットに氷水を入れます。つまり装置上面で冷やして仮面を加熱した際の温度差で発電するペルチェ素子発電装置です。
まずは氷水をつくります。バットの中に水とそこそこの氷を入れるのですが、この状態では氷水の温度は0℃程度で安定してしまいます。ですので、秘密兵器として”伯◯の塩”を投入します。
小学校の理科の授業などで経験がある方もいるかもしれませんが、氷水の温度が0℃で止まるのは氷が水に溶ける際の温度が水の凝固点である0℃だからです。しかしこれを塩水にしてやることで凝固点を0℃以下にすることができる≒氷が0℃よりも低い温度で水に溶けて熱を奪うため、氷水の温度を0℃以下にできるということが知られています。
さて、次はヒートシンクの下側で熱を与えるためのロウソクを用意します。長時間の実験にも最適な仏壇用の12時間ローソクに火をつけて、ヒートシンクに均等に熱が当たるように6つほど並べていきます。
さて、今この状態でペルチェ素子の下面はロウソクの熱で温度が上がり、上面は”◯方の塩”氷水で温度が下げられている状態です。温度差があるのでペルチェ素子は発電が出来ていて、電圧計の数値をみると4.91Vになっていることがわかります。
さて、この発電状態の電圧はそのままペルチェ素子の両面に温度差がどの程度あるかを指し示しています。先ほど4.91Vだった電圧もロウソクの熱がヒートシンクによく伝わり温度差が上がることで徐々に上がっていきます。
また、氷水を指でぐるぐるとかき混ぜて循環させてみると、ペルチェ素子上面をさらに効率的に冷やすことが出来ます。なんと出力電圧が7Vほどまで上昇しました。なかなか楽しいです。
ちなみに安定動作しているときのヒートシンクの温度は52℃となっています。ロウソクの炎は1000℃近くありますが、ヒートシンクが受け取れる熱、そしてヒートシンクが放熱してしまう熱などの差し引きによりこのくらいの温度で安定しているものと思われます。手で触るにはちょっと熱いくらいになっています。
発電能力を検証
無事に自作のペルチェ素子発電装置が完成できた所で、今度はこの装置にどのくらいの発電能力があるのか、色々と繋げながら確認していきたいと思います。
LED
まずは定番のLEDを接続して光るかを確認していきます。実験時の装置の開放電圧は5V程度で、LEDには20mA程度流れるようにしています。(100Ω程度の抵抗を入れています)
LEDを1つ繋げた時点でそこそこ明るく光らせることが出来ました。発電装置の電圧も少し低下しましたが、まだまだ余裕があるようです。
接続するLEDの数を5つまで増やしてみた所、この状態でも問題なくLEDを光らせることが出来てしまいました。ただし、LEDの接続する個数を増やすと露骨に発電装置の電圧が下がっていきますので、やはり装置としての発電能力はあまり高くないようです。
ちなみに先程もやったように氷水をかき混ぜると温度差が急激に大きくなりますので、発電能力がかなり回復します。ペルチェ素子に触れているところに近い部分の氷水がぬるくなってしまっているのが原因かとは思いますが、やはり温度差というのは発電においてもかなり重要なファクターのようです。
DCモーター
次にLEDよりもう少し重い負荷を繋げた際の挙動を確認していきます。今回は模型用によく使われる小型モーターを用意しました。ミニ四駆などでよく使われる130サイズのものです。
繋げてみた所なんと問題なく回転を始めました。特に指で始動してやる必要もなくそこそこの回転数で回っています。
ただし、先程まで5Vほどあった開放電圧は一気に0.7Vまで低下してしまいました。今回はモーターに流れる電流は測定していませんが、かなりギリギリの負荷ではあるようです。
このあたりの動作については動画のほうがわかりやすいかと思いますので、以下のバナーからご覧いただけますと幸いです。再生時間指定URLにて掲載しておきます。
発電能力特性について
さて、今回自作したペルチェ素子発電装置の発電能力について、電子負荷を使ってどの程度の電力が取り出せるのかを検証しました。
こちらが実験結果のグラフです。少し分かりづらいのですが、「出力電流あたりの電圧」をプロットしています。
今回の実験ではペルチェ素子を6つ直列に接続した状態で8Vまでの発電が確認できました。ロウソクの熱と氷水で実験しているので少し数値が振れている部分もあるかとは思いますが、ペルチェ素子一個あたりで1.3V弱は発電できているようです。
電流特性
まずは電流特性から見ていきます。電流が0mAの無負荷の時点では電圧は8V、そこから出力電流を増やしていく(グラフ↑方向)と電圧は下がる(グラフ←方向)ような傾向を見せます。
電圧が0Vに近いほぼ短絡状態ではだいたい500mAほどの電流が流せることがわかりました。
電圧特性
電流のグラフに今度はオレンジ色の電力グラフを重ねてみます。
電力グラフはこのように山のような形を描きます。グラフを見る限り一番電力を取り出せたのは出力電圧が5Vのときで、1.2Wほどの電力を取り出すことができるようです。
グラフが山なりになっている理由についてですが、これは電流を取りすぎると電圧が急激に低下してしまい、結果として取り出せる電力が減ってしまうためです。余談にはなりますが、太陽電池なんかも似たような性質を持っており、こういった発電デバイスに対してはMPPT制御に代表される「ちょうどよい電圧を探りながら電力を取り出す」仕組みが有効です。
発電効率について
次にこの発電装置の発電効率を計算してみたいと思います。ただしここでは放熱に使用している氷水のエネルギーは計算に含めないものとして、ロウソクが消費したエネルギーと発電装置から取り出せるエネルギーのみで計算します。
また、ペルチェ素子1つあたりの発電効率ではなく、あくまでイチケン製ペルチェ発電装置の発電効率であることに注意です。
さて、まずロウソクのもつエネルギーと期間あたりの消費エネルギーを計算します。
予備実験を行い、今回用意したロウソク6本を10分(600秒)燃やすことで2.85g減ることがわかりました。ロウソクの原料であるパラフィンには1gあたり40~50kJの熱量があると言われていますので、ここから仕事量であるワット(W)が算出出来ます。
仕事量[W]は1秒[s]あたりの熱量[J]ですので
$$W=\frac{2.85[g]\times40[kJ]}{600[s]}=190$$
となります。これがロウソク6本を燃やしたときの仕事量です。(動画では180と言っていますが正しくは190です)
これに対して、先程の測定で取得できたペルチェ発電装置から取り出せる仕事量「1.2W」を用いてエネルギー変換効率[%]を求めると
$$\%=\frac{1.2}{190}\times100=0.63\dots$$
となり、イチケン特性ペルチェ発電装置の効率は激悪の「0.6%」という結果になりました。
なぜ効率が悪いのか
効率が悪くなってしまう理由についていくつか考察してみました。
熱をうまく伝えられていない
まずロウソクの熱をうまくヒートシンクで受け取ることが出来ていない可能性があります。ロウソクの炎の規模に対してヒートシンクが大きすぎるため、ロウソクの熱がうまく伝わりきらずに大気中に逃げてしまっている可能性が高いです。
熱が逃げやすい
さらにロウソクの熱はペルチェ素子自体を通じて反対側にある氷水に奪われる分や、ヒートシンクそのものからものすごい勢いで放熱されている分など、多くの熱が発電に利用されることなく逃げている可能性があります。
このように、ざっくり言って「熱の逃げ道が多かった」ため、ロウソクの消費するエネルギーに対して発電されたエネルギーがとても低くなってしまったものと考えられます。ペルチェ素子自体の熱変換効率はもう少し高いはずです。
今回のような熱源と冷却できるものを用意しての発電というのは、正直な所あまり実用的ではありません。とはいえ温度差さえあれば電気が生まれるということに変わりはありませんので、人体の熱を利用できるウェアラブル端末への電力供給や、わずかな電力で動作できるデバイスを周辺環境の力だけで動かすといった用途においては、ペルチェ素子発電も活用の未来はありそうです。
今回のまとめ
というわけで今回はペルチェ素子の、熱を移動させる「ペルチェ効果」と、温度差を与えることで発電する「ゼーベック効果」について、実験を通して検証と解説をしてきました。
ペルチェ素子は何かを冷却したり熱源として利用することも出来ますし、うまく温度差を作ってやることで発電素子としても利用できる、なかなか興味深い電子部品の1つです。
ただし、電流を流す使い方ではペルチェ素子自体に発熱があることから放熱には気を使わなければいけませんし、あと若干値段も高い部類の部品です。実際にAmazonなどで検索をしてみると1個あたり数百円~千円ほどしますので、破損覚悟で使い捨てられる値段かというと微妙なラインです。
扱いについてはやや難しいデバイスかとは思いますが、しかし目的と使用条件にさえ合致していればこれ以上便利な物もありませんので、みなさんも是非いろいろと実験しながら遊んでみて下さい。夏休みの自由研究なんかにオススメです。
動画もあります
また、今回のブログの内容は動画でも公開しています。実験や解説についてブログでは紹介しきれていない内容もありますので、興味のある方はぜひこちらもあわせてご覧いただけますと大変うれしいです。
それでは今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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