こんにちは。今回はパワーエレクトロニクスの技術を活用して、1.5Vの単3乾電池一本から100Vを出せる電池を作ってみたいと思います。
動画も既に公開していますので、まだ見ていない方は是非あわせてご視聴下さい。
使用する回路方式について
まず100Vを出力できる電源を作るにあたり、どのような回路構成とするかを検討しました。
今回作るのは直流の昇圧回路です。「直流高電圧」などのワードで調べると色々な回路が出てきますので、どのような方式で昇圧するか検討してみます。
回路の紹介
まず直流高電圧を生成する時に使われることの多い有名な回路が「コッククロフト・ウォルトン回路」です。
こちらのコッククロフト・ウォルトン回路ではダイオードとキャパシタのみという非常に簡単な構成で直流高電圧を生成することが出来ます。ただし、こちらの回路では電源として交流電圧が必要です。
今回使用する電源は乾電池一本、つまり1.5Vの直流電源ですのでこのような交流を直流に変換して昇圧する回路を使用するのはあまり良い手とは言えません。
その他の昇圧回路の例としてフライバックコンバータの回路などもあります。これは直流を直流に変換しながら昇圧や降圧を行うことができるいわゆる「DC-DC」コンバータの代表例ですが、実際に一から制作しようとした場合、変圧器(インダクタ)の作成が少し難しそうです。
今回使用する回路
ということで今回は一番シンプルでストレートフォワードな昇圧コンバータを作成して行きたいと思います。昇圧チョッパとか呼ばれることもある回路ですが、ざっくりと表すと以下のような構成です。
使用する部品としては
- インダクタ
- スイッチ(今回はパワーMOSFET)
- ダイオード
- キャパシタ
がそれぞれ一つづつのみと、非常にシンプルな回路になっています。
動作原理の解説
この回路で一番重要なことは何かというと、「インダクタに溜まったエネルギーをキャパシタに移動させる」という事です。負荷が存在する場合には負荷にも流れていきますが、原理の理解のために一旦ないものとして考えます。
まず回路中のスイッチを閉じる(短絡)させた状態にします。この状態では電源(乾電池)とインダクタがループした状態となり、インダクタにエネルギーが溜まっていきます。このときインダクタに貯められるエネルギー\(W_{L}\)は
$$W_{L} = \frac{1}{2}LI^2$$
となります。この\(L\)はインダクタンス、\(I\)はインダクタに流れる電流です。
そしてインダクタにエネルギーが溜まっている≒電流が流れている状態でスイッチをオープンにします。そうするとインダクタとスイッチに流れていた電流は右側のキャパシタへと流れるようになります。
このときキャパシタに流入する電流からキャパシタの電圧は以下の式で表されます。
$$ Vc = \frac{1}{C}\int{i dt} $$
キャパシタに蓄積されているエネルギー\(W_{C} \)は以下の式で表されます。
$$W_{C} = \frac{1}{2}CV^{2}$$
Cはキャパシタの静電容量です。
キャパシタの電圧は電流の積分となりますので
これらの動作を繰り返すとインダクタのエネルギーを繰り返しキャパシタ(と負荷が接続されている場合は負荷にも)へと移動させていくことで出力側の電圧が上がることになります。
実際にどの程度昇圧できるのか
次にインダクタに貯めたエネルギーによって、どの程度キャパシタを充電できるのか(どの程度昇圧できるのか)について軽く計算してみます。なお、細かい計算は今回はバッサリ割愛します。
仮にこの回路で計算してみます。1mHのインダクタと100uFのキャパシタの組み合わせで、インダクタには1Aが流れている状態を想定しています。
インダクタに1A流れている時に貯められるエネルギー\(W_L\)は先程の \( \frac{1}{2}LI^2 \) から計算して、0.5mJとなります。
仮にこの0.5mJが全てキャパシタの充電に使われたとした場合、キャパシタのエネルギー\(W_C\)は\( \frac{1}{2}CV^2 \)から計算すると、3.16V(初期電圧が0Vの時)となります。
注意点
ただし昇圧コンバータも万能ではなく、インダクタのエネルギーをキャパシタに貯めるという性質上一つ注意しなければならない点があります。
キャパシタの電圧が低い場合、電圧を上昇させることは簡単なのですが、充電するキャパシタの電圧が上昇するにつれ昇圧を行うことは難しくなってしまいます。これはキャパシタのエネルギーが電圧の2乗に比例しているためです。
仮にインダクタに流れている電流が先程と同じ条件でキャパシタの初期電圧が100Vであった場合、キャパシタの電圧は100V → 100.05Vになるだけです。
関連動画
ちなみに昇圧コンバータについての詳しい解説動画は以前作成しています。もし昇圧コンバータについてより詳しく知りたいという方は是非こちらの動画もご覧ください。
昇圧コンバータの作成
基本的な構成が固まった所で今度は実際に昇圧コンバータを製作していきます。実際に100Vまで昇圧を行うものを作成する前にこちらのブレッドボード型基板で原理検証用のモデルを作ってみたいと思います。
使用しているイチケンオリジナルブレッドボード型基板はこちら
原理検証用の昇圧コンバータが完成しましたので、実際に昇圧ができるかどうか試験していきます。部品点数が少ないので非常に簡単に作成できます。
今回はこのようなセットアップを組みました。DMM6500(電圧計)が二台ありますが、上が入力電圧(Vin)で下が昇圧コンバータの出力電圧(Vout)です。
今回電圧は2倍に昇圧されるよう設定しています。画像の通り5Vを入力して9.5Vほど出力されていますので、理想力はやや下がるものの概ね2倍の昇圧に成功しています。
さらに電圧を高くして10V入力してみると出力電圧は19.7V程度になりましたので、この方法での昇圧は問題なく出来ていそうな感じです。
見えてきた課題点と解決
ここまでで問題なく動作する昇圧コンバータが作れることがわかってきました。ただ、これを乾電池一本からの昇圧に使用しようとした場合、一つ問題点があります。
それは何かというと、スイッチの役割として使用しているMOSFETを駆動するための電圧です。
MOSFETをスイッチとして使用する場合、ゲート・ソース間に最低でも5V程度の電圧を印加する必要があります1。ですが今回電源としている乾電池は1.5V程度しかありませんので、このままでは制御回路を駆動することが出来ません。
そこで低電圧でゲートを駆動するためだけ使えるような、一つのパッケージにまとまった2ような都合の良い部品はないかとDigiKeyで探していたのですが、すごい昇圧モジュールを見つけました。
村田製作所の製品で「MYRBP500080W21RE」という、乾電池の1.5Vから5Vを生成することができるモジュールです。定格出力電流は0.6Aと控えめですが、米粒ほどのサイズで0.65~6Vの入力を安定した5Vにしてくれるというかなりの優れ者です。
今回の回路構成としてはこのような形で、MOSFETのゲートを駆動するためにこちらの村田製作所のモジュールを使用します。これで乾電池の1.5Vのみを電源として昇圧回路のスイッチングができるようになります。
回路基板の作成
それでは実際に昇圧を行うためのモジュールを製作していきます。今回も例のごとく回路CADで基板の設計を行い、プリント基板を業者に発注しました。部品の調達先はDigiKeyです。
今回のモジュールではおおまかにMOSFETの駆動を行うための弱電系の部分と、実際に昇圧を行うインダクタやパワー半導体などの強電系の部分に分かれます。(弱電・強電の定義については色々ありますが今回は割愛します)
弱電系の回路部分には主に表面実装部品を使用し、強電系のパワー回路には耐圧などを意識してスルーホール部品を多用しました。まずは弱電系の部分からの組み立てです。
表面実装部品を実装するためにまずペースト状のはんだをパターンに塗っていきます。今回基板を発注する際にステンシルも注文しておきましたので、適当にペーストをポイントカードなどで刷り込んでいきます。
はんだペーストが塗り終わったら表面実装部品をピンセットなどでそっと乗せていきます。今回MOSFETのON/OFFにはタイマーICのNE555を使用しています。デューティー比を可変できるように表面実装タイプのポテンションメータ(半固定抵抗)も実装しました。
弱電部分の部品を実装し終わったらリフローです。今回はUSB-PDを電源として動く小型のリフロープレートを使用しました。こちらの製品については別の企画で紹介をしていますので、興味のある方は↓からどうぞ。
動作検証(制御部分)
制御回路部分の製作が完了しましたので、MOSFETが1.5Vの乾電池一つだけで問題なく駆動できるか検証をしてみます。
今回同じモジュールを複数使用するため(理由は後述)、すべてのモジュールで村田製作所の昇圧モジュールを駆動する必要はありません。そのため入力をバイパスするか選択できるジャンパを設けています。
最初は制御回路には乾電池は接続されていませんが、ジャンパをONにすると無事5Vの電圧が制御回路へと供給されていることが分かります。これでMOSFETは駆動できるはずです。
これはMOSFETのゲート・ソース間電圧を見ています。先ほど実装したタイマーICのNE555から無事にパルス波が出ていることが分かります。基板上に実装した可変抵抗を回すとデューティー比が変わる様子も確認できました。
先ほど説明した通り 昇圧回路のスイッチであるMOSFETをONする時間とOFFする時間を変更することで昇圧コンバータの昇圧比が設定できます。ONの期間が長いほど昇圧コンバータの出力電圧は高くなります。
モジュールを完成させる
どうやら乾電池一本でも昇圧回路が駆動できそうだということが分かりましたので、ここからパワー回路部分の部品も実装していきます。スルーホールタイプの部品を手ではんだづけしました。これでモジュールは完成です。
ざっくり割愛しましたが平滑用のコンデンサ・ダイオード・MOSFET、それからインダクタの実装ができました。今回使用した受動部品の定格は以下のとおりです。基本的に耐電圧の高いものを選定しています。
部品 | 定格 | 型番 |
---|---|---|
電解コンデンサ | 450V / 100uF | 450VXH100MEFCSN22X25 |
ダイオード | 650V 9A | BYV29X-600127 |
Nch-MOSFET | 250V 15A | IPA600N25NM3SXKSA1 |
インダクタ | 100uF 1.96A(飽和3.64A) | DR127-101-R |
動作確認
完成したモジュールで実際に昇圧を行う事ができるか確認してみます。
画面左側の電圧計が入力電圧、今回は乾電池ですので1.5V程度となります。右側は出力電圧です。制御回路への電力供給がされていない状態では回路中に存在するダイオードの順方向降下電圧分だけ下がった電圧が表示されています。
次に制御回路の電源を入れると、このように4V強の電圧が現れました。昇圧に成功しています。
可変抵抗を回すことでMOSFETのオン時間が変わることは先程説明しましたが、実際にこちらを調整するとだいたい4~8Vくらいの範囲で電圧を可変できることがわかります。一から作ったと考えるとかなり良いのでは無いかと思います。
100Vを得るには
課題
ここまでで問題なく乾電池一本から数倍程度の昇圧が行えるということは分かったのですが、このままでは当初の目的である100Vへの昇圧は難しそうです。インダクタに溜めたエネルギーを利用することで昇圧していますので、このまま数十倍の昇圧を実現するためには非現実的な電流が必要になります。
理論的には乾電池から大電流を流すといったことは出来なくもないのですが、実際は乾電池の内部抵抗があるためすぐに乾電池の電圧が下がってしまい、今度は昇圧自体ができなくなってしまいます。また、インダクタなど他のパワー部品は大電流対応品を使用しない限り電流に耐えられず発熱・発火します。
ですので、モジュール一つで力技で1.5Vを100Vまで昇圧するというのはやめておいたほうが良さそうです。
解決法
色々とこの課題をクリアするために方策を練っていたのですが、やはりここは一番わかりやすく「昇圧した電圧をさらに昇圧する」方法が良いのではないかという結論に至りました。
具体的には先ほど作成した昇圧モジュールを数珠繫ぎにすることで高電圧が生成できるのではないかということです。
このような接続方法を縦続接続といいます。カスケード接続と呼ばれることもあります。
昇圧比について
縦続接続によってどの程度昇圧ができるのかを考えてみます。もしそれぞれのモジュールが入力に対して2倍の昇圧を行う場合、2倍を3回行うため全体では8倍の倍率となります。このとき入力が1.5Vだとすると最終段の出力は12Vとなります。
それぞれのモジュールが5倍に昇圧した場合も同じです。全てのモジュールが同じ倍率であると仮定した場合、全体の昇圧倍率はモジュールの倍率の段数乗となりますので5の3乗、つまり125倍で187Vとなります。
どうやら3段程度の縦続接続で100V以上の昇圧が実現できそうな気がしてきました。というか100Vを作る予定がうっかり100倍昇圧になってしまいました。
100倍昇圧完成
縦続接続
というわけで縦続接続用のモジュールについても製作しました。全てのモジュールは同じ構造をしています。
- 段目で乾電池の1.5Vを昇圧して→
- 段目でその出力をさらに昇圧して→
- 段目でも昇圧します。
なお、MOSFETは先ほど実装した村田製作所のDCDCコンバータが生成した5Vで制御されていますが、この5Vについては最初のモジュールでのみ生成して、2段目以降には1段目の5Vをそのまま供給しています。ですので最初に設計した段階で制御回路の昇圧部分をON/OFFできるようにジャンパを配置したわけです。
火入れ
それでは実際に3段つなげた状態で電源を入れていきます。高電圧の直流電源を扱うため絶縁手袋を装着して行います。
乾電池一本だけを接続して言いますが、最終段の出力には154Vの電圧が出ています。乾電池の開放電圧がだいたい1.5Vですので、どうやら100倍昇圧出来ている様です。
使用している絶縁グローブはこちら
ケースの紹介
今回モジュールを収めるために3Dプリンタで大きな乾電池型のケースを作ってみました。単一乾電池をそのままスケールアップしたような形ですが、実際に上下の端子に出力がつながっていますので実質「150V乾電池」となっています。
内部には縦続接続されたモジュールが3つ入っています。下部には電源となる単3乾電池のソケットが一つあります。
通常の乾電池と同じ様に端子に常に150Vが出ている状態ですとうっかり触れてしまった時に非常に危険です。いわゆる「デンジャラス・イチケン」状態となってしまいますので、本体側面外側にはちゃんと出力をカットできるトグルスイッチを仕込んでいます。
実際に外側の端子部分、通常の乾電池であればタブ端子の部分にテスターを当てていますが、100倍に昇圧された電圧が出ていることが分かります。
150Vで遊んでみる
ここでちょっと実験をしてみます。
通常の乾電池は1.5V、内部でセルが6直列になっている006P型の電池でも9V程度ですので、両端子を短絡させたとしても火花が散るといったような見た目に派手な事は起きません。ですがこちらの150V乾電池だとどうなるのか少し遊んでみたいと思います。
手頃な導電体としてシャープペンシルの芯をワニ口クリップで掴んだものを用意しました。反対側は電池のマイナス側(回路のGND)につながっています。この状態でプラス側の端子に接触させてみると、そこそこ派手な火花が飛びます。
中身の電源が単3乾電池一本であることに違いはありませんので放電に対してすぐに昇圧回路の電圧が降下してしまい連続して派手な火花が飛ぶようなことはありませんが、それでも結構バチバチと放電することが分かりました。
今回の微妙ポイント
今回1.5Vの単3乾電池から150Vを作り出すことには成功しましたが、こちらの巨大150V乾電池に負荷を接続すると出力はどうなるのか見てみます。
適当に数キロオームの抵抗を接続してみましたが、電圧計の表示は50V弱とすぐに電圧が下がってしましました。これには色々と原因があるのですが、概ね次の3つのような理由が考えられます。
原因1
まず1つ目の原因として、今回の昇圧回路では電圧のフィードバック制御をしていないことが挙げられます。
通常は電圧を高く、あるいは低く変換する回路の場合、出力側の電圧を監視するために分圧抵抗などを設置して制御回路にフィードバックを入力します。制御回路ではMOSFETを駆動するパルス幅にそのフィードバックの値を使用することによって、負荷側の出力電圧は常に一定となります。
今回の回路ではそういったフィードバック制御用の回路は構成せず、MOSFETのスイッチング信号についてもトリマ抵抗で決め打ちのものを使用しています。このため負荷が接続された際にはその分だけ出力の電圧が下がってしまうわけです。
原因2
2つ目の原因ですが、そもそも昇圧コンバータ(その他のスイッチング電源全般も含む)では動作中にインダクタに流れる電流がどうなっているのかが重要です。
昇圧コンバータではスイッチ(MOSFET)が閉じているときにインダクタにエネルギーを貯め、スイッチ(MOSFET)を開いているときにコンデンサへエネルギーを移動させるというのは先程説明したとおりですが、このときインダクタに流れる電流が「連続的であるか・不連続的であるか」が重要です。これを動作モードといいます。
今回は詳しい解説は割愛しますが、それぞれの動作モードに長所と短所があり、また動作モードが変化すると昇圧比も変わってしまいます。そのため本来であれば負荷に対応して動作モードがどうなるかというのも考慮した設計を行う必要があるのですが、今回はごく基本的な回路構成で済ませるためにその辺りの計算をしていません。
ですので負荷を接続した際に思った昇圧ができなくなってしまうことの一因となっています。
原因3
また、そもそも電圧が下がってしまう理由として、電源に使用している乾電池の特性があります。
実は今回作成した昇圧回路では乾電池に1A程度の電流が流れています。この1Aという電流値は乾電池、とくに単3乾電池に対してはそこそこ大きな負荷で、1.5Vの電圧が昇圧回路を動作させているだけで1V程度まで低下しています。
そこに加えてさらに負荷を接続したわけですので、乾電池の両端の電圧はさらに下がってしまったというわけです。
今回のまとめ
というわけで今回は単3乾電池一本を電源として、150Vが出力できる巨大乾電池を昇圧コンバータを使用して作ってみました。
今回は電源が乾電池一本でしたので負荷をとった際に出力の電圧が著しく下がってしまうという結果になりましたが、この乾電池を並列接続にしてみればもう少し昇圧を維持できる可能性はありそうです。
また、今回昇圧回路を縦続接続(カスケード接続)にして100倍程度電圧の昇圧が出来ましたが、おそらく3kV(3000V)程度まではこの回路構成でも実現できそうな感じがしています。
降圧コンバータ動画もあります
ちなみに今回は昇圧回路を作りましたが「降圧コンバータ」についても以前イチケンの動画で制作しています。回路的に似ている要素も多いので是非こちらの動画も参考にしていただければ幸いです。
それでは最後までお付き合い頂きありがとうございました。
編集後記
あまり大きな声では言えないのですが、今回の企画中にスタッフがうっかり通電中の150V乾電池の両端に触れるという感電事故がありました。今回は電源が乾電池一本であることや出力側のコンデンサがそこまで大きくないため、出力の電圧はすぐに下がり多少腕がブルブルする程度の感電でした。
通常、乾電池の電圧程度では人体側の抵抗値が高いためほとんど電流は流れませんが、直流で150Vともなると話が変わります。だいたい100mA程度流れると命に関わると言われていますので、適切な電源さえあれば気軽に人が死ぬモジュールみたいな側面があることは昇圧回路で遊ぶうえで絶対に忘れてはいけません。
コメント
コメント一覧 (1件)
毎回,楽しく拝見させていただいています。
微妙ポイントの所に気になる点がありましたので,ご連絡させていただきました。もしかしたら,そもそもご存じで同じ点を散々に指摘されてたら非常に申し訳ありません。
上記の回路ですがそもそも乾電池の出力電力不足があるのではないでしょうか?
乾電池1個当りで取り出せる電力は2 W程度です。これを約100倍に昇圧すると昇圧した側に流れる電流は約13 mAです。
一方で出力に5 kΩ の抵抗をつけた場合,150 Vを印加した際に流れる電流は,約30 mAとなります。この場合,乾電池から取り出せる電力の方が小さいため,どうしても電圧は150 Vを維持出来なくなります。
もちろん,出力側に大容量のコンデンサを入れれば,ある程度の時間は電圧を維持することも可能だとは思いますが,その場合,抵抗で消費される電力は約4.5 Wとなるので通常のカーボン抵抗ですと燃えて,デンジャラス・イチケン状態になりますので,お気をつけください。